アスペルガー症候群、ADHDなどの発達障害は、基本的な知能には問題がないが、その思考や行動が、通常の定型発達者とは異なることからたびたび問題が起こる。しかし、私はこれら発達障害は人類の進化の過程で起こった存在なのではないかと考えている。

そもそも進化とは何なのかと考えた時、それは変化する自然環境においてより効率的に適応できる形質的変化を生じることが言える。人類はほかの動物たちとの生存競争に対し、知能や指先の器用さで勝ち残ってきた。人類の高い知能は言語や火、道具の使用を可能にし、それは大型の哺乳動物と比較しても強いものとなった。結果、人類は文明を築きそれは地球規模にまで拡大した。

しかし、もちろん現生人類にも祖先がいた。アウストラロピテクスやホモハビリスなどといった過程を経て、現代のホモサピエンスに至ったわけである。では、この後の人類はどうなるのか。
現代の人類は安定期にある。少なくとも先進国においては弱いものを淘汰するのではなく、社会保障などに基づき保護し生き残らせている。しかし、我々人類の中にも、より強い新しい遺伝子変異をもって生まれてくるものがいるはずなのである。私は自閉症スペクトラム障害にそれを見出した。

現代の社会は次第に高度化している。より専門性の高い活動が要求されるようになりつつある。そのような社会でより有利な形質とは何なのか。それは高い集中力である。高い集中力こそが専門性の高い活動において、より大きな成果を出すために有利な形質である。そして、アスペルガー症候群などの自閉症スペクトラム障害にはそれがあった。

まだこれが完成形だとは思わない。しかし、アスペルガー症候群などの持つ能力はホモサピエンスの次の人類に至るために必要な新しい遺伝子を持ちうるのではないかと考えられる。つまり、アスペルガー症候群などにさらに複合的な遺伝子変異が複数組み合わさることでホモサピエンスサピエンスの枠から抜けるのである。